犬や猫

f:id:dream3631:20151028063818j:plain犬や猫の急患の4割は誤飲 楽しい休日の後に「土日病」も

 犬猫ともに生後10カ月前後で成犬、成猫となる。適切な食事と体重管理を心がけ、生後6~8カ月を目安に不妊手術を受けることが望ましい。発情期のトラブルを防ぐほか、病気の予防にもなる。さらに年に1度は獣医師による健康チェックを受けるといい。

 この時期は病気の発生のほかに室内での事故に注意が必要だ。

 特に犬に多いのは異物の誤食・誤飲だ。飼い主が留守のときに人の薬や食物を引き出して食べてしまい、帰宅した飼い主が「食べたものを激しく吐く」「ぐったりしている」などの異変で気づいたりする。

 赤坂動物病院の柴内裕子院長によると、同院では夜間の救急疾患の40%が誤食・誤飲などの事故だという。

 「トウモロコシの芯や桃の種を飲んでしまったパグ、靴下を食べてしまったゴールデンレトリーバー……。ドッグランで飼い主が知らぬ間に、ボールを四つも飲み込んでいたドーベルマンもいました」

 ほかにも竹串やヘアピン、安全ピン、子どものおもちゃやスポーツタオルなどがある。猫はビニールやひもを飲み込むケースが多い。いずれの場合も異物が腸に達して腸閉塞を起こすなど危険だ。「遊んだおもちゃは必ず片づける」「危険なものを置きっ放しにしない」を徹底しよう。

 さらに、いま増えてきているのが、犬や猫の「心の病」。2000年から東京大学附属動物医療センターで犬猫の問題行動を診療している武内ゆかり准教授は、「当初は2週に1頭くるかどうか、という程度でしたが、今は週に2~3頭を診療しています」と話す。

1匹で留守番による

 同センターでは現在までに犬約450頭、猫約50頭を診療してきた。犬の問題行動の多くは「飼い主を噛む」「吠える」などの攻撃行動だ。1歳前後から増えてくる。治療法は「静かな部屋にケージを移動する」などの「環境修正」、「飼い主と犬・猫の付き合い方を変える」「運動をさせる」などの「行動修正法」、抗不安薬などを使った「薬物療法」、去勢や避妊などを行う「医学療法」を組み合わせて行う。

 犬には、1匹で留守番をすることが不安で吠え続ける「分離不安」や、自分の体を舐め続けたり、尾を追いかけ回したりする「常同障害」も増えている。

 「常同障害は遺伝的な要素によることもありますが、抗うつ剤の一種を処方しながらケージの置き場所を変えたり、落ち着ける環境を整えたりすることで行動がおさまるケースもあります」(武内氏)

 前出の柴内院長も話す。

 「普段は仕事で不在な飼い主が土日に犬を構い過ぎ、休日が終わると犬が体調を崩すことも。『土日病』と呼んでいます」

 飼い主の「問題行動」がストレス原因になることもあるのだ。

 猫の場合はどうだろう? 攻撃行動も多いが、欧米では排泄に関わる問題の報告が多い。
 
 「日本の飼い主さんは猫の粗相をそれほど問題視しない傾向にあります。しかし元来きれい好きな猫がトイレ以外におしっこをしたりするときは、何らかの問題があるはず。腎障害など疾患に関わる場合のほか、多頭飼いによるストレスなども考えられます」(武内氏)

 腎臓などの病気がなければ「新品のトイレを元のものに戻す」「1頭に一つのトイレを作る」などの対処で解決できることもあるという。

 犬も猫も問題行動を長く放置すると、だんだんこじれていってしまう。「困ったな」と思ったら早めに対処することだ。なにより間違ってはいけないのは、問題行動=悪はないこと。

 「動物の行動はすべてその動物の個性に結びついています。それを理解せずに間違ったしつけをすることで、不安から問題行動がさらに大きくなることも多い。特に無理やり口周りを押さえつけたり、仰向けに押さえつけたりするしつけは絶対にやめてほしい」

 柴内院長はこうも話す。

 「住みにくい都会の環境では、飼い主も動物もストレスに強くならなければならない。そのためには『箱入りにせず、人になるべく会わせる』『旅行に行くときには信頼できる動物病院に預ける』など、動物と飼い主の適度な距離感が必要です」

 いい共存関係を作り、伸びやかに暮らすことが、お互いのストレスを減らすコツのようだ。