肌の乾燥

f:id:dream3631:20151101064232j:plainかゆみや湿疹…肌の乾燥、防ぐ方法は?


 肌の乾燥が気になる季節になった。特に高齢者は、皮膚の水分量が少ないため乾燥しやすく、かゆみや湿疹につながることが多い。乾燥から身を守るにはどうすればいいだろうか。

 皮膚は幾重もの層から成り、最も表面にある角層で水分を保っている。ところが、加齢に伴い、各層が徐々に薄くなり、水分を保つ力も低下する。皮脂の分泌も減少するため、乾燥肌になりやすい。

 さぎのみや皮膚科クリニック(東京都中野区)院長の松田芳和さんは「乾燥した皮膚は、正常な皮膚に比べてちょっとした刺激でもかゆみを感じてしまう。一度かき始めると、さらにかゆみが広がり、赤くなったり、ひび割れのようになって湿疹につながったりしてしまう」と話す。

 乾燥してきめの粗くなった皮膚は、外からの刺激や細菌などから身を守る機能も弱くなる。日頃の気配りで乾燥を防ぐことが大事という。

 まず、注意したいのが入浴だ。ナイロン製のタオルなどでゴシゴシこすったり、皮脂を落とす効果の高いせっけんを使ったりすると、皮脂を取りすぎて余計に乾燥を招く。肌に優しいタイプのせっけんを選び、しっかりと泡立ててから手のひらでなでるように洗うといい。また、熱い湯も皮脂を奪うので、ぬるめに感じられるお湯がお薦めだ。

 「入浴後は必ず保湿剤をつけて」と松田さん。特に風呂から出て5分以内は毛穴が開いていて、保湿剤がよく浸透するという。「脱衣所などに常備しておくと便利です」

 保湿剤には、さらっとしたつけ心地のローションや乳液タイプ、クリーム状、軟こうなど、様々なものがあるので、好みに応じて選ぶといい。

 保湿剤は、手のひら全体を使って均等に延ばすように塗る。皮膚のしわに沿って塗るときれいに広がる。クリーム状なら人さし指の先から第1関節までの長さで、手のひら二つ分ぐらいの面積に使える。軽く皮膚がテカるぐらい塗るのが目安。入浴後以外でも乾燥が気になったら何度でも塗る。

 「これまでの生活習慣や思いこみが、乾燥を悪化させていることもあります」と指摘するのは、高齢者住宅を運営する「生活科学運営」の看護師、浜園理恵さんだ。

 多いのは「冷え性だから」という理由で、電気毛布やこたつ、エアコンといった暖房器具を長時間使い、乾燥を助長してしまうケースだ。体が温まるとかゆみが出やすく、悪循環になりかねない。

 「かゆいのは汚れが原因」と思いこんで過度にゴシゴシ洗ったり、虫さされの薬をつけたりして、さらにひどくなってしまう人もいるという。

 要介護者はかゆみを訴えられず、ひっかき傷になっている場合も多い。介護する人が入浴時などに皮膚の状態をしっかりと観察し、早めに乾燥対策を取ることが重要だ。

 「高齢になると季節を問わず乾燥してかゆいという人もいる。ぜひ通年の保湿を心がけて」と浜園さん。また、乾燥やかゆみが続く場合は、早めに受診しよう。

入浴後は保湿剤を…

 ・日に何度か保湿剤を塗る。特に保湿成分が浸透しやすい入浴後5分以内がよい

 ・皮脂を落とす力の強いせっけんやボディーソープは使用せず、肌に優しいものに

 ・セーターなどの衣料品はチクチクして刺激になることが多い。肌に直接触れる衣料品は着心地のよい綿に

 ・部屋の乾燥を防ぐため、冬場は加湿器を使って湿度を40~60%程度に保つ