ストレス

f:id:dream3631:20151110182658j:plainストレス?仕事?脳?最新科学が明かすうつ病の原因



脳科学の研究により、うつ病の発症には、脳の仕組みとストレスが大きく関わっていることがわかってきました。


うつ病の脳とストレスの関係

うつ病になると気分が沈む、眠れない、体重が減る、微熱が出るなどの諸症状に悩まされますが、これには脳の神経伝達物質が大きく関係していると考えられています。神経細胞間の情報伝達を担う物質を神経伝達物質と呼び、「セロトニン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」などがあります。これら神経伝達物質は、心のバランスをとる、気分を高揚させる、やる気や意欲を起こさせるといった心に対する作用のほか、睡眠や体温調整といった生理機能、体をスムーズに動かすといった体への作用も担っており、脳や身体の機能をうまくコントロールしています。正常な脳ではこのそれぞれの神経伝達物質がバランスを保ちながら分泌されていますが、過剰なストレスがかかると、分泌量が減るなどの異変が起こり、バランスが崩れてうつ症状を発症します。また、ストレスは内臓のそばにある副腎より、コルチゾールというホルモンを大量に分泌します。コルチゾールは、脳の神経細胞の成長に関わる「BDNF」の生成を妨げるため、脳の神経細胞を萎縮させ、その結果脳の機能低下やうつ病の悪化を招くと考えられています。


■「死にたくなる」理由はセロトニンの低下にあり?

「死にたい」という気持ちになるのも、うつ病の典型的な病状と言えます。精神科の専門用語で「自殺念慮」といい、積極的に死にたいというより「生きていたくない」「消えてしまったほうが楽だ」というような漠然とした思いにとらわれた状態が続きます。この自殺念慮にも脳の仕組みが関係していると考えられています。うつ病の原因には脳の情報伝達物質が影響を与えると説明しましたが、その伝達物質の中でもセロトニン自殺念慮に関係していることが近年の研究でわかってきました。脳内の神経伝達物質であるセロトニンの濃度が低下すると、うつ病発生のリスクとなると同時に攻撃性や衝動性を高めます。この状態が、他者に働くと傷害や殺人に、自分に働くと自殺念慮煮となって現れると考えられています。


■脳の中は先端機器で調査できる

また、近年の研究により、うつ病時の脳は血流量が低下していることもわかってきました。複雑な問題などを解く時、健常な脳は血流量が多くなりますが、うつ病時の脳の血流量はそれほど変化しません。電磁波を脳に当てる「光トポグラフィー検査」など、最先端の機器による検査により、この変化パターンを解析する方法もあります。